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つれづれなるままに引き出しを開けると、自分でも忘れていたものを思い出したり… ぴったりの処方箋が見つかったり…
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ジャッキーチェンがハリウッド進出して、アジアのアクションスターとして有名になり始めた頃から、香港映画は複雑に進化して、枝分かれしていったように思われます。古典的なアクション映画、コメディ映画、文芸作品という流れにそれまでにはなかった新しい潮流が加わりました。それが、いわゆる「香港ノワール」と呼ばれる分野です。
香港ノワールとは、香港製のフィルム・ノワール、平たく言えば任侠もの、やくざものですが、フィルム・ノワールのイメージよりももっとバタくさく、男くさい感じです。チョウ・ユンファ(周潤發)の「男たちの挽歌」から火がついて、この手の作品が爆発的に流行りました。とにかく派手にドンパチがあるのですが、アクションというよりも、ベタベタの人情、任侠、義理、しがらみ、プラス男の面子(メンツ)wの描写に重きが置かれていて、クセになる面白さがあります。そしてもうひとつの特徴として「女がでてこない」ということがあります。厳密には出てはくるのですが、決してヒロインポジションではありません。存在感薄いです。甘い恋愛もありません。描かれるのはあくまで「男の世界」が中心です。
しかしこの独特な香港ノワールの世界は香港がイギリスから中国に返還されて以降、次第にその影が薄くなります。時代の変化、文化の変化が香港の任侠世界にも変化を及ぼし、様変わりしました。イギリス統治時代の香港は「古き良き(?)過去」となりました。

2002年、そんな混沌の過渡期の香港を舞台にとんでもないノワール映画が作られました。それが、「インファナル・アフェア(原題:無間道)」です。この後2003年には3部作として、二部「無間序曲」、三部「終極無間」が製作されました。
警察からやくざの世界へとやくざの世界から警察へ、奇しくも同時期にスパイとして送り込まれた二人の若者の壮絶な運命が描かれており、その完成度たるや、ある意味香港ノワールの集大成であり、頂点の作品とも言えると思います。主演はトニー・レオンとアンディ・ラウ、もうこれだけでも見る価値あり。苦悩する男の渋さ、カッコ良さが全面に溢れています。しかし何と言ってもそのストーリーが秀逸で、あまりに素晴らしいため2006年にはハリウッドで、そして今年のお正月ドラマとして日本でもリメイクされました。(ハリウッド版題名は「Departed」、日本ドラマ版の題名は「ダブルフェイス」) ハリウッド版も、日本ドラマ版も出来は決して悪くはなく、ちゃんと原作のリスペクトもされていますが、私はどうしても、このストーリー、この世界観はやはり「香港」でなければならないのだと感じました。
香港という閉ざされた、矮小な世界に渦巻く濃~い人間ドラマ、香港の任侠世界はイタリアンマフィアの世界とも、日本のヤクザの世界とも異なるのです。それは映画の端々のちょっとした描写などで逆に鮮烈に感じられます。ヤクザの組長たちが息詰まる駆け引きをする屋台の火鍋屋であったり(野菜はレタスw)、猥雑な雑居ビルの中の部屋であったり、警察で出される食事であったり、TVやラジオで流れる曲であったり、取引の手はずや、敵の始末の仕方(怖い!)であったり・・・ それらはどれも決してスマートではなく、そして常に香港独特の、じっとりと汗ばむような湿っぽさ、むせかえるような温度やにおいがつきまとっているのです。
「無間道」だけでも非常に完成された作品であるように思いますが、三部合わせて見ることにより、物語に一層深みが増します。個人的には二部の過去編がこれまたツボでした。過去は・・・王道ですよね。アンディ・ラウの若い頃をエディソン・チャンが、トニー・レオンの若い頃をショーン・ユーが演じていますが、この二人がまたイケメンで、雰囲気がピッタリです。若い、尖った、切ないほろ苦さを余すところなく魅せてくれます。たまりません・・・!
堅気の世界で生きようとしていたもの静かな長男が、意に反して父親の跡目を継ぐことになる、その変わりっぷりをフランシス・ンが鬼気迫る演技で見せてくれて、とても印象深いです。その他のキャストも非常に豪華でそれぞれに、これ以上ないほど合っています。
ハラハラ、ドキドキ、何度見ても面白い、「インファナル・アフェア」三部作は香港返還という忘れられない出来事と共に私のお気に入りの香港映画コレクションの一つになりました。

     
 2002年 アンドリュー・ラウ監督    若き日の二人を演じたエディソン(左)とショーン(右)   若いっ!







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